龍記搶鍋麺

台湾特有の「眷村文化」 を味わうことができる麺料理の老舗レストラン。そのあまりにもあっさりした味わいには深い理由がありました。今回はその謎にせまりつつおいしい搶鍋麺をいただきます。

台湾特有の「眷村文化」。台北市内には今でもその名残がたくさん残っています。そしてその名残は料理としても台湾で市民権を得ています。  今日の台湾飯はその中にあってあっさりした味わいの麺料理、搶鍋麺が人気の老舗レストランをご案内します。


評価

  • 味 7点
  • 予算 100台湾ドル/人
  • サービス 普通
  • 客層 現役世代
  • 化学調味料 5%

眷村とは?


四四南村
出典:臺北市政府觀光傳播局

眷村の始まり

1949年共産党との戦いに敗れた多くの国民党の軍人とそれに付き添う家族や人民が大陸から大挙して台湾にやってきました。

彼らは当初台湾への移住は一時的なものとしか考えておらず、簡素な建物を作りそこで集団生活を始めたのです。

眷村内の家々はほとんどが安く作れる竹垣で庭を囲っており、家庭によっては食料の足しに庭で鳥をかったり畑を作ったりしました。

計画性はまったくない居住区なので、路が狭く、家々の間隔もばらばらでさながらスラム街の様相を呈していました。

写真の場所は台北にある眷村の一つで、1948年に建てられた四四南村という場所で、今では市政府管理の史跡として観光地になっています。

いずれお出かけ台湾飯でご紹介するときが来るかもしれませんのでお楽しみにお待ちください。


眷村菜

着の身着のままで大陸からわたってきた彼たちの食糧事情は来た当初はとても貧しいものでした。

材料も限られたものを使うしかなく、調味料も必要最低限のものしか使えません。

しかしながら彼らは中国全土から集まってきたので、中華八大料理の知識をもっています。

その知識をもとに、彼らはお互いが知識をもちより厳しい環境の中オリジナルの料理を次々と作り出しました。

広く認知はされていませんが、眷村菜という料理文化はこのようにして生まれたのです。


眷村菜の特徴

では眷村菜とはいったいどんな料理なのでしょうか。

これは一言で言うと中華料理をベースとした質素な家庭料理です。

中華八大料理を基礎としていますが、その味つけは質素そのもので、人によっては味付けがないというかもしれないほどです。

ただ、その味は台湾人を含めた彼らにとってはどこか懐かしい味であり、お腹いっぱいにたべても、まだ食べることができて、そして次の日にも厭きずにまた食べられるほどだと形容されています。


その眷村菜といわれる料理の一つに、今回ご紹介する搶鍋麺があります。

さて前置きが長くなりましたが次からこの麺料理レストランのご紹介と食レポをはじめますね。


どんなレストラン?


お店の外観

信じられないぐらい狭い路地を抜ければ目の前に見えます。

地図を見ながらいらっしゃれば迷うことはないと思いますが、この路地がとても狭く見た目も汚いので本当にこの先にレストランがあるかどうかすら疑わしく思われると思います。

ただ、このお店周辺には人気のお店がたくさんありますから、人通りが多いので勇気を出してこの狭い路地に入ってきてください。



狭い路地に入って半分ほど進むと曲がり路がありますので、そこを曲がると今回のお店にたどり着きます。

路地に入り口は二箇所ありますが、西門町に近いほうの路地のほうがわかりやすいと思います。

こちらの西門町のほうからの道には、趙記菜肉餛飩大王や老王記桃源街牛肉麺店という人気店がありますのでこちらを目印にしてもいいかもしれません。

この2店舗もいずれ台湾飯でご紹介します。

楽しみにお待ちください。


搶鍋麺


搶鍋芙蓉麺(100元)

今回詳しく解説した眷村菜の一つ搶鍋麺。

麺の上にタマゴと挽肉がのった芙蓉麺か細切りのお肉がのった肉絲麺の二種類から選びます。



本来の搶鍋麺はスープには出汁を使わず水で作ったみたいですが、さすがにそれでは今の人には受けないので、こちらのお料理はしっかりとした出汁で作っています。

それでもスープの味は塩味が薄く、ほんのり醤油の香りがする程度に抑えられています。

上にかかった具にはまだ強めの塩味がついてますが、これをしっかり混ぜたとしても味が薄いと感じる人はいると思います。

こちらのスープの味は、家庭でつくる昆布出汁をベースにした水炊きの最後のおじやの味です。

いろんな具材から出汁がでて美味しいのですが、こちらのスープの出汁も十分なうまみを感じました。

ちなみに薄味好きの私からすればちょうどいい塩加減だと思いました。


おかわり台湾飯。その味わいから眷村菜と思われる麺料理がおいしいレストラン。



調味料

刻みニンニクとラー油です。

味が薄いと感じたかたはどうぞ。

私も試しに二つを入れて食べましたがまったく違った味わいになっておもしろいと思いました。


まとめ

グルメ天国台湾にあって、その中でも特異な料理である眷村菜。

台湾には今でも多くの眷村菜レストランがありますが、時代の波に流され眷村菜という看板を下ろすレストランも少なくないと聞きます。

それでも今回ご紹介したような創業40年を越えるレストランもありますから、台湾食文化の懐の深さを感じることができますね。

さて今回は日本人にも受け入れやすい味付けの搶鍋麺のレストランをご紹介しました。

場所がわかりにくいのが欠点ですが、一度食べたらなぜかまた食べに来たくなるその味わいは癖になる可能性がありますので、是非迷いながらでもこちらの麺を食べにお越しください。



ごちそうさまでした。


龍記搶鍋麺お店情報

営業時間
10:30–13:50/16:30–19:50

定休日
日曜日

最寄のMRT駅
西門 BL11 G12
台北地下鉄路線図

アクセス
MRT西門町4番出口から徒歩4分

住所
台北市中正區衡陽路84巷5號