永和豆漿大王

地元のかたもその美味しさに太鼓判を押す台北の人気老舗朝ご飯屋さん。台湾全土になぜ永和豆漿という名前の店が多いのかがわかる完全に俺得な情報もしっかりとお伝えします。

個人的にかなり不思議だった永和豆漿という名前がついた朝ごはん屋さんのなぞが今回はっきりとわかりました。そこにあったのは予想を覆す意外なことばかり。朝ごはん屋さんのレポートもきっちりとこなしますので、どうぞ最後までお楽しみください。


評価

  • 味 7点
  • 予算 65台湾ドル/人
  • サービス 普通
  • 客層 全世代
  • 化学調味料 5%
  • 豆乳 焦げ風味なし

永和豆漿大王という名前の秘密

台湾全土には永和豆漿大王もしくは永和豆漿という名前のお店がたくさんあります。

他には四海豆漿大王などもよく見ます。

私は最初これらのお店はフランチャイズか何かと思っていましたが、結論からいえばこれらはお互いにまったく関係ありません。(四海豆漿大王については少し事情が違いますので中山駅近くのお店を紹介するときにレポートします。)


ではなぜ同じ名前の店が台湾中に乱立するのでしょうか。

これを説明するために時系列を3つに分けてわかりやすく説明いたします。

  1. 外省人によりもたらされた食文化 台湾における豆乳レストランの黎明期
  2. 1950年代の台湾における豆乳レストランの興隆期
  3. 1960年以降の台湾における豆乳レストランの最盛期

今回とりあげた永和豆漿大王は時系列としては1950年代の興隆期にあたります。


豆乳は外省人によってもたらされた食文化

戦後台湾に移民してきた外省人が台湾で生活し始めたことは以前龍記搶鍋麺のお店をレポートしたとき眷村文化の紹介で説明しましたが、豆乳のレストランも実は外省人によってもたらされた食文化なのです。

黎明期の詳しいことは違うお店のレポのときにしますが、彼らの苦労を礎に台湾が発展したのは間違いありません。

その中でも台北の発展は目覚しいものがあり、台北では経済成長に比例して建設ラッシュがはじまり、肉体労働者が集まりました。

そこで今度は永和という台北市の隣の市である場所に注目する必要があります。


おかわり台湾飯。素朴な味つけの麺がおいしい龍記搶鍋麺。


永和という地区

少し見にくいですが、赤い線で囲まれたところが永和區というところで、台北市内からは川を挟んですぐのところにあることがわかります。

今でもそうですが市内で生活するにはある程度の費用が必要なので肉体労働者のほとんどは台北周辺に住んでいました。

その中でもこの永和區は人気の場所でした。

そして同じ理由で都市部に住むことができない外省人もこの永和區に多く暮らしていました。

最初は外省人による生活のために始められた豆乳レストランも、時代の移り変わりとともに台湾人にも受け入れられ始め、特に高カロリーを必要とする肉体労働者の朝ごはんとして徐々に人気が出て、1950年代半ばには永和區に多くの豆乳のレストランが作られました。

人があつまると自然と街も活気づき、人の往来が増えるため、豆乳レストランのうわさは全国に広がり、永和といえば豆乳のレストランという認識が台湾全土に広まったのです。

そして台北やその周辺都市以外の場所でも豆乳の朝ご飯屋さんを始める人が増え、屋号をこぞって永和豆漿としたのです。

大王は専門とかの意味ですから、より強調するために永和豆漿大王も人気のある屋号になっています。


読者様の中には商標権等の台湾の法律についての疑問があると思いますが、複雑化してしまい混乱させるだけだと判断して今回はあえて無視します。

念のため言っておきますがもちろん台湾にも商標権という言葉、概念はありますし、それは屋号にも適応されます。


結論

もう一度いいますが同じ名前であっても永和豆漿大王はそれぞれが別のお店です。

肝心なのは読者様がうろ覚えの状態で台北で永和豆漿という屋号のお店にいったときにそこが本当に行きたい場所かどうかです。

同じ名前だからチェーン店だと思わずまったく別のお店だとの認識でお店を選んでくださいね。

今回のレポのお店でも念のため店員さんに確認しましたが、やはり支店などなく他の同じ名前のお店もまったく関係ないといわれました。

ちなみにグーグル先生のお力を借りて永和豆漿で検索すると台北だけで17店舗がヒットします。。


今回はいつも以上に詳しく豆乳のお店の屋号についてのレポートを作成しましたが、個人的には今までの謎が解けてすっきりしました。

そして結果的に読者様への朝ごはんの豆乳レストラン選びのときの注意喚起にもなり、長くなってしまいましたが意味があったと思います。

さて次からは本来の食レポに戻ります。

今日のお店は新鮮な豆乳が食べられる台北でも屈指の人気朝ご飯屋さんです。


どんなレストラン


お店の外観

真っ赤な看板が遠目からも目立ちます。

ここまで大きくて目立っていたら間違えることはないですよね。



店先、お店の外、店内と職人さんが手作りの生地を加工しています。

店内で食べるときに種をプレスして蛋餅の生地を作るときに出る、プシー、プシーという音が響いています。



店内の様子

店内は大きくありませんが、朝ごはんのお店は大体がテイクアウトのほうが多いですから混雑時にもそこまで待つことはないと思います。


お料理


葱花蛋(15元)

薄焼きタマゴに葱をいれた一品。

焼餅と一緒に食べることが多いです。



焼餅(15元)

表面がカリカリしていて中もさくさくのおいしい焼餅です。

個人的に焼餅のおいしさの基準は食感と、冷めてもおいしいかどうかですが、こちらの焼餅は冷めてもここまでさくさくならできたてはそうとうおいしいに違いありません。

ちなみに私は焼餅に何かを挟んだりせずそのまま(中国語では原味)でいただくのが一番好きです。



冰豆漿(25元)

なにも味つけされていない豆乳。

温かいものか冷たいものを選べます。

やはり豆そのものの味を楽しむためにはこれが一番です。

こちらの豆乳は水っぽくなくまた大豆の香りをはっきりと感じることができる良質な豆乳だと思います。

焦げた風味もまったくしませんでした。



鹹豆漿(35元)

豆乳をお酢で固めて朧状にしていただくお料理。

お店それぞれに個性があってそれぞれが微妙に違います。

こちらのものは、薄味ながらうまみが充分に出ていて、朧具合も硬すぎず柔らかすぎず私の好みに合う食感でした。

中の切り干し大根がいいアクセントを生んでいて、揚げパンのさくさく感もあいまって全てにおいて調和が高いレベルで成立していると感じました。

朝の口が渇いた状態で食べるメニューとしては完璧に近いものではないでしょうか。


まとめ

記事の約半分がお店の名前の由来になってしまいましたが不思議な充実感の中で筆をすすめています。

台北に住みだして9年目ですがまだまだわからないことがいっぱいだとあらためて気づかされました。

このブログを通じてその知識の補完をするとともに皆様にもそれらを共有できる喜びを今感じています。

さて今回のお店は朝ご飯屋さんのなかでは比較的すいているイメージですので、朝から喧騒がいやなかたにはオススメです。

味も間違いなくおいしいので、少し朝早く起きていただいてこちらにお越しください。



ごちそうさまでした。


永和豆漿大王お店情報

営業時間
日曜日/0:00-12:00
月曜日/06:00スタート
その他の曜日/24時間 

定休日
無休

最寄のMRT駅
大安 R05 BR09
台北地下鉄路線図

アクセス
MRT大安駅3番出口から徒歩7分

住所
台北市大安區復興南路二段102號