コンテンツ
中華ちまきとは何ぞや。その答えを台北で30年近く営業している老舗のちまき屋さんの食レポとともにご紹介します。
日本のちまきとは味も形も全然ちがう、台湾のちまき。そのルーツや台湾での地方地方の味付けの差など、細かく解説する今回の台湾飯。これを読めばもう台湾のちまきのことが全部わかります。
評価
- 味 6点
- 予算 90台湾ドル/人
- サービス 普通
- 客層 全世代
どんなレストラン?
最初は屋台から始まったこのレストラン。
今ではこんな素敵なお店を構えるまでになりました。
台南出身のオーナーの作り出すちまきが地元のかたに愛されている証拠ですね。
メニューをみて何を食べるかを決めた後は、カウンターの入り口においてあるお盆をもって、実際の商品をみて注文するシステムです。
注文がすむと店員さんがお盆にその商品を置いてくれます。
ちまきだけは、蒸し器に入っていますので、直接見るとはできません。
ちまきのお店でこんな広いスペースが必要かどうかは少し疑問ですが、綺麗でゆっくりとお食事ができます。
大体どの時間でもゆったりと席に座って食べることができますが、端午の節句のときは注意が必要です。
端午の節句
旧暦の5月5日は端午節です。
台湾では、春節(旧正月)、中秋節に並ぶ三大節の一つです。
この端午の節句の起源は、紀元前300年前まで遡ります。
その当時楚の国の国王の側近に、屈原という政治家がいました。
愛国者であり、人民からも愛されていた彼は皇帝にさまざまな改革を提案し政治を補佐しましたが、奸臣の策謀により、ついには皇帝に見放されてしまいます。
下野した彼はそれでも祖国を愛し続けましたが、ついには秦によって国が滅ぼされたと聞き、懐に石を抱き川に飛び込み死んでしまいました。
それでも彼を愛してやまない人々は彼を哀れに思いまた魂を弔うため、竹筒や葉にお米を包んで川に投げ入れたのが、ちまきの始まりだといわれています。
そして彼が川に身を投げた日が、旧暦の5月5日のことであり、このことは伝承となり端午の節句として祭事に生まれ変わり、現在まで中国の文化として受け継がれているのです。
また祭事には人々が銅鑼を打ち鳴らしボートをこいで川の中にちまきを投げ入れたことが、今のドラゴンボートレースの始まりにもなっています。
詳しくそして簡単に時代背景を知りたい人は漫画キングダムを読んでみてください。
中国の歴史はおもしろいですよ。
ちなみにここで出てくる楚という国は、秦(漫画キングダムの主人公の国、秦の始皇帝)に滅ぼされますが、彼の死後すぐに諸国で反乱が起こり、この楚を再興して軍を率いて秦を滅ぼすのに活躍した項羽の出身の国です。
彼もまた秦を滅ぼしたあと漢の始祖である劉邦によって討たれる運命にあるのですが、その最後の戦いで敵に囲まれ自分の祖国の兵にも裏切られたその状況を彼が嘆き、四面楚歌という言葉が生まれました。
四面楚歌の楚とは国の名前で、端午の節句ともかかわりがあったんですね。
さあキングダムを読みましょう。
項羽と劉邦も読みましょう。
ここまでオススメしといてなんなんですが、私は三国志派です。。
台湾におけるちまき
台湾のちまきは大きく分けて2種類に分類されます。
一つは北部、もう一つは南部です。
北部ちまきの特徴は、もち米も含めて全部味付けをしてから蒸しあげます。
味も南部とくらべて塩味が強いです。
南部のちまきの特徴は、味付けした具材に生のもち米を混ぜて蒸しあげます。
味も北部と比べて薄く、そのため食べるときにタレつけていただくことが多いです。
調味料の一つにピーナッツの粉があるのも南部のちまきの特徴のひとつです。
お料理
白身魚のつみれのスープ。
つみれは外側はふわふわとしていますが中はしっかりしていて2種類の歯ごたえが楽しめます。
食べ応え十分で魚臭さがまったくないおいしいつみれだと思いました。
ただ、私にはスープの味付けが少し合いませんでした。
最初は薄味の塩味を想像していたのですが、実際はほのかな甘さを感じる出汁で作られています。
豚骨スープらしいのですが、豚骨の濃厚さは感じませんでした。
適度なモチモチ感が心地いいこちらのちまき。
中の具には、豚肉、椎茸、卵の黄身、干しエビ、栗、ピーナッツが使われています。
それぞれがしっかり味付けされていて、先ほど説明した南のちまきは味が薄いというのはこの店に限って言えば当てはまりません。
確かにもち米自体には薄く味付けしていますが、結局は中の具材とくに豚肉の油分がもち米にしみこんでいて、結構こってりしています。
かかっているタレは、甘めの醤油ダレで、わかりやすくいうとみたらし団子にかけるタレの甘みを抑えた感じです。
濃厚でおいしいのですが、さきほどもいいましたが私にとってはこのちまきの味付けだけで十分で、タレをつける必要はありませんでした。
ここは好みの問題なので、読者の皆様は参考程度にとどめておいてください。
まとめ
ちまきの由来から、漫画キングダムまで派生する雑食気味の今回の台湾飯。
由来を知り、またその時の時代背景を知ればその食べ物へのアプローチも変わってくるかもしれないという思いでレポを作成しました。
台湾の歴史は短いとはいえ、脈々と受け継がれているところも一つの魅了なんですよね。
その中にあって30年もの間、台湾ひいては中国の文化を守り続けることに助力してきたこちらのレストランは、それだけでも尊敬に値します。
今回の記事で中華ちまきに興味をもたれたかたは、ぜひ台湾で食べてみてください。
王記府城肉粽お店情報
営業時間 10:00-01:00 定休日 旧正月、端午節のあと約10日 最寄のMRT駅 南京復興 G16 BR11 台北地下鉄路線図 アクセス MRT南京復興駅5番出口から徒歩10分 住所 台北市八徳路二段374號